トレーナーができる「左右差を見て記録する」:骨盤の高さと筋の硬さを、治療せずに比べる手順
前の記事で、トレーナーの仕事は痛みを「見る・分ける・つなぐ」ことだと書きました(出典2)。この記事は、「見る」の中でもトレーナーが治療の領域に入らずにできる、左右差を見て記録する手順です。
なぜ左右差か
痛みの原因を断定するのはトレーナーの仕事ではありません。しかし「左右で違う」という事実を記録することは、誰にでもできて、医療者に渡したときに役立つ情報です。片側だけを見て「硬い」と言っても判断材料になりませんが、「右が左より硬い」は事実として共有できます。
手順1:骨盤の高さを左右で見る
藤井翔悟の仙腸関節の解説動画は、治療家向けに評価の最初の手順をこう説明しています。「ASIS(上前腸骨棘)の高さがまず揃っているかどうか見て、揃っていないところで、特に縮こまっている側があれば」(出典1)。
トレーナーが行うのはここまでです。
- 仰向けで、左右のASIS(骨盤の前の出っ張り)に指を置く
- 高さの差を見る
- 差があれば「右が高い」「左が高い」と一文で記録する
縮こまっている側に何が起きているかの判断は、動画では治療家の評価として続きますが、トレーナーは記録で止めます。
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LINEで無料動画を受け取るセミナーの日程を見る手順2:太腿の前外側の筋の硬さを左右で比べる
動画は、骨盤の前側から走る大腿筋膜張筋を「仙腸関節の硬さと連動している」筋として挙げています(出典1)。トレーナーは、この筋の硬さを左右で比べて記録します。
- ASISのすぐ下外側に指を置く
- 筋腹を軽く押し、抵抗を感じる
- 反対側で同じ場所を同じ強さで押す
- 「右の方が抵抗が強い」のように一文で記録する
押す強さは軽くします。痛みを作ることが目的ではなく、差を感じることが目的です。
手順3:記録を医療者と共有する
2つの記録を、前の記事の6行の記録に足します。
| 項目 | 記録の例 |
|---|---|
| 部位・動き・範囲 | 右膝、しゃがむ途中だけ、過ぎると消える |
| 腫れ・熱感・変形・しびれ | なし |
| 骨盤の高さ | 右ASISが左より高い |
| 太腿前外側の筋の硬さ | 右の方が抵抗が強い |
| 赤信号 | なし → 治療家に相談 |
この表を渡せば、受け取る側は最初の数分を省けます。トレーナーの記録の価値は、ここにあります。
やらないこと
- 硬い筋を「ほぐす」「緩める」ことを目的に強く押さない(治療の領域に入ります)
- 骨盤の高さの差から原因を断定しない
- 選手に「ここが原因です」と言わない。「左右で差があるので、見てもらいましょう」までにする
記録を続けると見えること
同じ選手を週1回、同じ手順で記録すると、変化が見えます。試合後に右が高くなる、特定の練習の後に右の筋が硬くなる、といった傾向です。これは治療ではなく観察ですが、医療者と連携するときの最も価値のある情報になります。
まとめ
- トレーナーができるのは、左右差を見て記録すること
- 骨盤(ASIS)の高さと、太腿前外側の筋の硬さを左右で比べ、一文で記録する
- 原因の断定と治療はしない。記録を医療者と共有する
- 同じ手順で続けると、傾向が見える
この手順の背景にある評価の考え方は、当社のセミナーで治療家向けに教えているものです。トレーナーとしてどこまで関わるかを決めるためにも、無料動画で考え方を確かめてください。
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- 当サイト「選手に『痛い』と言われたとき、トレーナーが最初にやる3つのこと」 https://trainer-itami-note.pages.dev/itai-to-iwareta-3tsu/